「ゼーガペイン」DVD最終巻 僕らの想いは永遠か・・・

ゼーガペイン FILE.09 [DVD]

ゼーガペイン FILE.09 [DVD]

人は死に逝く為に生きるのか・・・
生とは死とは・・・永遠なる人類の自問自答。


子供向け玩具の宣伝媒体であるアニメーションにおいて、30年近く前に、その問いを問うとした作品があった。ガンダムと呼ばれたそれは、宇宙に進出した人類の革新という形で生きるということ知るということを、僕らに語りかけてくれた。そして、時は経て、コンピューターに取り込まれたデータとしての人類という新たな形で、そのテーマに挑んだ作品が、同じスタジオから生まれた。


正直、最初はパッとしないなっていうのが素直な感想だった。夕方という時間もあって見逃したり録画し忘れたりと、オンタイムではきちんと見れなかったけど、やっとDVDも完結。全て見終わって思った。2006年のアニメの中で人に勧めるなら、これと今なら自信を持って言えると。


富野監督や高橋監督を初めとするサンライズ作品の多くはリアルロボットと呼ばれ、過酷な戦争の中で必死にに生きようとする人々の姿を描いてきた。ガンダムではニュータイプと呼ばれた主人公のもとに死んでいったものたちの魂がやってくる。それは彼らが極限状態で作り出した思い出の塊なのかもしれない。でも、その時、生き行くものの中で死んでいったものたちは行き続けている。生命はその種を存続するために生を紡ぐ。それは人類も同じだろう。だが、人は自らが生きていたという証を残そうとするために生きてもいる。それは、宇宙に人類が進出しても同じではないかと問うた、それが富野ガンダムではなかったか。そして、その想いは、後進によって新たな視点で引き継がれたのではないだろうか。


中流ばかりと言われていた日本でも確実に進行する貧富の格差。持てるもの持てざるもの。そこには生きることの意味も変化する。未だ成されない富の再分配。繰り返される衝突。かつて、今より不安定な世の中で人々は神に救いの手を求めた。それは科学の進歩した現代でも続いている。死者を弔うことによって自らの死後も弔ってもらうことも想いを残すことの一つの手段なのかもしれない。だが、生は永遠ではない、いつか訪れる死という瞬間まで、今を、今しかないこの時間を精一杯生きる。そのことの大切さを教えてくれた、そんな作品でした。


是非、一度、彼らの声に、想いに触れてみてください。